「『自分』に関係ある」をビジネスに結びつける


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概要 ▶ 土曜日の夕方、車を走らせているときにはFMで「アヴァンティ」(夕方17:00~)を聞いている。今回のテーマは「アイデア」だった。放送作家の樋口卓治さんの話は興味深かった。WEBでも掲載されているので紹介(6月25日以降にリンク先にはいけると思います)。 ゼロからイチを考え出すのが大変な時に、イチをどれだけ膨らますか、という考え方はよく使う手。その場合、最初の企画から何歩下がれるかを考える。 たとえ
土曜日の夕方、車を走らせているときにはFMで「アヴァンティ」(夕方17:00~)を聞いている。今回のテーマは「アイデア」だった。

放送作家の樋口卓治さんの話は興味深かった。WEBでも掲載されているので紹介(6月25日以降にリンク先にはいけると思います)。

 ゼロからイチを考え出すのが大変な時に、イチをどれだけ膨らますか、という考え方はよく使う手。その場合、最初の企画から何歩下がれるかを考える。
 たとえば先日「結婚式で花嫁と花嫁の母が花束を渡して泣き出すようなドキュメンタリーを」という注文が来た。この手垢にまみれた企画を考えるのあたっては、結婚式場から何歩下がれるかをみんなで考えた。それで辿り着いたのが午前中の美容室。そこでカメラを構えて待っていると、パーマをかけたオバチャンが出てきた。「今日、何か良いことあるんですか?」と聞くと「実は娘の結婚式なんです」……という出だし。そこからオバチャンが家に帰って、着物に着替えて、結婚式場に向かう、というドラマのある結婚式のドキュメンタリーになる。
2005年6月18日の放送(樋口卓治さん(放送作家))『放送作家のアイデア』の話


ちょっとWEBでは省略されている部分も多いのだが、まぁこんな感じのお話だった。つまり普通の人たちがスタートだと思っている所というものは、捉え方を変えてみると、そこはスタート地点ではなく、もうプロセスとして流れている所とも見れるというものだ。

結婚の話だったら、綿々と繋がる人生の中のひとつのシーンなので、いくらでも戻ることもできるだろうが、それは現実的ではないし、本編に行く前に視聴者が飽きてしまうと思う。そうであれば、とりあえず本編だと考えられている結婚式場に来る前にはどこに行く?その前には?と場所を戻っていくことで、本編と大きくずれることもなく、しかしその舞台裏的な普段は見れないシーンを視聴者の届けることができる。

本編(今回で言えば結婚式会場)では登場人物達は気分は最高潮なわけだが、視聴者も準備のシーンを見ていくことで本編に入るときの気分を最高潮に持っていく(花嫁や花嫁の母と同じ気分になれる)ことが可能になるわけだ。

うまいねぇ(当たり前)。

そんな放送を聞いた後、よく見ている波多野blogを見てみたら、こんなエントリーが。

上記の記事には二つの事例が出されている。1つは顧客の注文したボートがネットで生産工程が見ることができ、随時それをチェックしつつ、要望があったら電話で受け付ける。これは米国のボート会社の事例(米国サマーセット)であり、日本の事例としては、顧客自らが旅行事業に参加することができる旅行社の事例(クラブツーリズム)が書かれている(詳細は上記新聞を参照のこと)。こうした『価値ある経験』を顧客と共同で創造し、それらを顧客に提供する結果、他社にない競争力を獲得できると、氏は述べている。
【波多野blog】 ネット時代の価値共創/WEBマーケティング


これも手法としては先ほどの放送作家の方と同じと考えることもできる。(日経新聞は取っていないので詳しいことはわからないのですが)ボート会社の例では普段は見ることができない裏側を見れる上に、要望も出せる。できあがった商品(ボート)を注文する、受け取るだけではなく、そのボートができるまでの過程にも参加できる。商品をもらうときには「あたかも『自分』が作ったみたいな」気分で受け取ることができるだろう。

また旅行事業に顧客が参加というものはプランニングなどから参加するというものだと思うが、お仕着せのパッケージツアーは正直どうなの?と思っている顧客は必ずいるわけだが(そんなもん考えるのは面倒という顧客も多いだろうが…)、そういうニーズに応えたものだ。顧客は旅行を通じて様々な新しい体験や経験を求めている。「自分(たち)」の経験のためであれば多少の出費もいとわない…ということになるのではないだろうか。つまり顧客は旅行に対しての満足度は向上し、旅行会社は客単価は上がるというWin-Winの関係が結べるのではないだろうか。

顧客は制作段階から参加しているから、できあがった商品・サービスに対してクレームが発生しづらくなるというリスク回避の面も提供側としては重要な点であるかと思う。

なんにせよ、様々なサービスで「自分」に関わっている(もしくは関わっているような)感覚になっているものに対しては、満足度の向上が期待できるのではないだろうか。

ウチの印刷会社でそれを実現するには何があるだろう。単独に仕事は1~2日で終わってしまう場合が多いので、個別にとはなかなかいかない。せめて社内の生産工程の情報開示はもっと必要なんじゃないかと思ったりもした。
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