FUSION IP-Phone SMARTの音声コーデックの違いをAGEphoneで比べてみたまとめ


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概要 ▶ 電話料金が安くなるFUSION IP-Phone SMARTですが音声コーデックが複数選べて音質のコントロールができます。今回は音声コーデックの違いと聞き比べてみた結果をまとめてみました。
20130310-FUSION-IP-Phone-SMART-コーデック-01
出典:スマートフォンの通話料をトコトン安くする | FUSION IP-Phone SMART βサービス


みなさん、IP電話使っていますか?
私はFUSION IP-Phone SMARTというサービスを使っています。


このサービスのすごいところは、まず月額基本料が0円。使うか使わないか分からないサービスを気軽に試せるのは嬉しいところですね。

また通話料金は8.4円/30秒です。私はソフトバンクのiPhoneを使用していますが、契約はホワイトプランですので、通話料金は21円/30秒ですので、通話料金が60%も安くなります。これは電話をよく使う人には嬉しい価格ですね。


さて、そんな良いところがあるFUSION IP-Phone SMARTなのですが、IP電話なので、通信回線の状態によって音質がかなり変わってきます。

FUSION IP-Phone SMARTは、電話用のアプリは対応しているものであれば自由に選べるので、音質などの設定はユーザーに任せられている部分があります(簡単設定もありますが)。

そこで、音質の違いなどを調べてみました。


FUSIONが指定する音声コーデックについて

FUSION IP-Phone SMARTに対応している音声コーデックは次のように書かれています。
通話アプリに、以下の情報を設定します。

・ドメイン:smart.0038.net
・ユーザ名, ユーザID:SIPアカウントに記載された値
・パスワード:SIPアカウントパスワードに記載された値
・コーデック:Speex(8kHz), iLBC, GSM, G711μ, G.722
           (小 <------ 必要帯域 ------> 大)

通話品質は、ご利用になる通信環境等に依存します。 Wi-Fi利用時には、環境によりますがGSM, G711等を推奨します。3G回線利用時には、GSM以下の必要帯域の小さなコーデックを推奨します。
IP-Phone SMART Softphone Configration

つまりAGEphoneで対応しているSpeex(16kHZ)(AGEphoneではSpeex/16000)やSILK/8000などには対応していないことが分かります。SILKはSkypeでも使用されている音声コーデックで、結構音質も良いのですが残念です。


必要帯域について

FUSION IP-Phone SMARTで必要とされる通信の速度(必要帯域、ビットレート)を調べてみました。
一般的にVoIPの世界で使用されているのはG.729系で、IP電話などではG.711が多くなってきている。G.711はISDNでも使用されているコーデックであり音質は良いが、G.729と比較すると情報量が大きくなってしまう。G.729は圧縮率が高くかつ音質評価も良いコーデックである。それぞれ音声1チャンネル当たりの必要帯域は、G.711が64kbps、G.729で8kbpsとなっている。通常双方のコーデックは共に20msec間隔(間隔を変更することも可能)で送出される。
VoIPに耐えるネットワーク構築(2):IP電話を使うなら知っておきたいパケット制御 - @IT
G.711はISDNでも使用されているのですね。通信回線が安定していれば音質面ではかなり良さそうです。ISDNでも…ということでG.711でのビットレートは64kbps。

私がUbuntuで使用している「SFLPhone」だと、GSMが13.0 kbpsと最もビットレートが低く、次いでSpeex(8KHz)が24 kbps、同じくSpeex(16kHz)が42 kbps、PCMU(G.711 μ-law)が64 kbpsと表示されています。基本的にはビットレートが低い方がインターネット回線の負荷が低いので、遅延等が発生しにくくなると思います。その分、音声の明瞭さが失われているのでクリアな通話が出来なくなるという事でもあるのですが。
BLOG.MINAWA.NET: OpusとCodec2
FUSIONのページに書いてある必要帯域とは結果が異なる様ですが、こちらは実測のようです。
GSMが13kbps、Speex(8kHz)が24kbps、G.711が64kbpsだそうです。

☆CsipSimpe コーデックの設定

WiFi (IIJmioファミリー&DTIターボなら3G設定もこれでいけるかも)
[レ] PCMU(G711u) /avg=58.4Kbps/73.0Kbps
[レ] GSM 8kHz /avg=12.8Kbps/28.4Kbps
[レ] speex 8kHz /avg=7.7Kbps/22.7Kbps

3G (IIJmioミニマム&DTIを想定)
[レ] speex 8kHz /avg=7.7Kbps/22.7Kbps
[レ] GSM 8kHz /avg=12.8Kbps/28.4Kbps

csipsimpleの場合
リストにあるコーデックの中から相手が希望するコーデックが優先的に使われる
相手がどのコーデックでも良いと判断した場合はリストの上から順番に適合するものが使われる

低速回線ならGSMも入れておくといい
speexより少し聞きやすい
FUSION IP-Phone SMART Part 7
CsipSimpleはAndroid用のIP電話アプリですが、見た目がカッコイイです(笑)。


音声コーデックの音質についての一般的な評価

それでは音質について見ていきます。
各音声コーデックによって、音質の評価点が付けられているそうです。
俺様用メモ

コーデック使用帯域MOS(PSQM)演算量(MIPS)
G.72248/54/64kbps4.210.1
G.711μ64kbps4.30.07※CsipSimpleでは"PCMu"表記
iLBC13.3/15.2kbps3.8/4.1437.2
GSM FR13kbps3.54.5
GSM EFR12.2kbps3.815.9
speex 8k2-24kbps2.5-4.117-26
speex 16k4-44kbps(不明)27-56

AMR-NB4.75-12.2kbps4.1420※FOMA音声コーデック
G.729a8kbps3.713※movaハイパートーク音声コーデック

※MOS(Mean opinion score、平均オピニオン評点)
通話品質を5段階(4:非常に良い,3:良い,2:まあ良い,1:悪い,0:非常に悪い)で 評価させたオピニオン評価値を単純平均して求めた値。
NTTのアナログ電話網は、MOS値が3.5以上になるよう設計されているらしい。

※演算量
CPUに必要な演算処理量。数値が大きいほどCPUパワーを要する。
上記データは ttp://www.adaptivedigital.com/ 辺り(TI C674x)。

FUSION IP-Phone SMART Part 7
※表は著者が引用情報を表に組み直しました

音質面ではG.722・G.711μ(PCMU)以外ではFOMAの音質には全然及ばないようですが、帯域から考えると、FOMAの音質の凄さが感じられます。movaのハイパートークも8kbpsながら検討していることが分かりますね。


私の音質チェック環境

通信回線はフレッツ光からのWi-Fi通信で確認しています。
通話のための帯域は充分にある状態でチェックしました。

通話先は、電源を切ったPHSで、「お掛けになった電話は電波の届かない場所におられるか、電源が入っていないため掛かりません」という音声を聞いて確認しました。
このため話した音声がどのように聞こえるかのチェックは行っていません。(FUSIONさんにはそういう環境を用意して欲しいものです…Skype音声テストサービスみたいに…)


通話アプリは「AGEphone for iPhone」を使用しました。


音声コーデックによる違いの評価

●G.722

今までの調査の結果から、実際にG.722が使用帯域が大きく音質が良いのでは…?と思いましたが、G.722は完全な無音時からの立ち上がりの音が強く機械的になる傾向があります。聞こえ始めると音質は大変クリアに聞こえます(明瞭です)。
(実際の通話で使用してみると完全な無音というものが無いためか、機械的な音になることはほとんど無くクリアに聞こえます)

●G711μ

G.711μはAGEphoneではPCMUという記載になっています。
完全な無音時からの立ち上がりはG.722より良いですが、音が少なくなったときからの次の音が若干機械的になる傾向があります。音質は大変クリアに聞こえます(明瞭です)。

●GSM

GSMは音の明瞭さはG.722やG.711(PCMU)より籠もった感じの音質になります。無音時からの立ち上がりはG.722やG.711のように機械的な音ではありません。

●iLBC

iLBCはAGEphoneのiPhone版・Android版には対応していないようです。Windows版は対応していますが今回はiLBCでのチェックはしていません。(先程の表から見ても処理能力がかなり必要だからモバイル対応しないのでしょう)

●Speex(8kHz)

Speex(8kHz)はAGEphoneではSPEEX/8000という記載になっています。音の明瞭さはG.722やG.711(PCMU)より籠もった感じの音質になります。GSMと比べても特段音質が悪いというわけではないようです。無音時からの立ち上がりはG.722やG.711のように機械的な音ではありません。雑音的な音になることが稀にあります。


まとめ

音質面では、クリアな音質はやはりG.722とG.711μでした。
しかし、AGEphoneでG.722を使用していると、突然音声が機械的になり相手の音声が聞き取れなくなったりしたことがありました。これは音声コーデックの問題なのかアプリの問題なのかは分かりませんが、今回テストしたフレッツ光回線以外の回線のドコモの3G回線やソフトバンクの3G回線でも同様な問題が発生しました。なので、現時点のFUSION IP-Phone SMART+AGEphoneという組み合わせではG.722を選択するのはやめた方が良いと考えます。

G.711μはG.722に比べると比較的しているので、高速な回線の場合にはG.711μをお薦めです。(AGEphoneではPCMUです)


3G回線までを考えた場合、総合的に平均して安定しているのはGSMです。音質的にはG.722やG.711μに比べると籠もった感じの音質ですが、いかにもケータイっぽい音質といえばそんな感じの音質です(笑)。
相手の音声やこちらの音声がキチンと伝わらなければ、通話は成り立たないので、3G回線ではGSMをお薦めします。


それでは、よいIP-Phone SMARTライフを。

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