Creative CloudでDTPに関わる人達は本当に幸せになれるのか?


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概要 ▶ Adobe Creative CloudでCS6以降のバージョンが全ていつでも使えるようになりましたが、そのことがDTPに関わる人達を幸せへ導くのか考えてみました。
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出典:アドビ クリエイティブ クラウド | Adobe Creative Cloud


Creative CloudでDTPに関わる人達は本当に幸せになれるのか?ということを考えました。


Creative Cloudの最近の改訂でCS6まではいつでも使用できるようになりました。
Creative Cloudは“CS6以降のアプリケーションがいつでも全て使えるサービス”となります。

つまり、いつCreative Cloudに加入しても、CS6を最も古いバージョンとして、どのバージョンにも、いつでもさかのぼってご利用いただけるようになるという事になります。
Creative Cloudは”CS6以降のアプリケーションがいつでも全て使えるサービス”となります。
これは大きな変更です。

今まで、Macを新規に購入して、数多くのバージョンが混在するDTPの世界で、なるべく多くのバージョンに対応しようとすると、かなり大変な労力を必要としました。
古いバージョンのインストーラーの用意と、ライセンスの用意。

そしてその労力に見合った対価があるかというと、正直微妙な部分もありました。

この古いバージョンに関しての気苦労をAdobe CS6以降は考えなくてもよくなるというのは、システム管理者、そしてシステム拡張を提案する側の人間からすれば、かなり気が楽になります。


Adobeのブログからは表現が微妙ですが、同一マシンで複数バージョンの起動が認められるのであれば(同時起動じゃ無くても構わない)、DTPをする人達が懸念しているお客様の制作バージョンと受け取り側のバージョンの違いによるデータ崩れが基本的になくなるので、より安定的な出力環境が構築できます。
お客様に「バージョンXXに落として渡して下さい」と言わなくても済むようになります。
(データの扱いを分かっている人はこのバージョンを落とすという言葉がいかにいい加減な言葉かはご理解頂けるでしょう)


しかし…Apple次第でこのCreative Cloudの意味も大きく変わってきそうです。

DTPはまだまだAppleのMacを利用しているパターンが多いので…

AppleがMacのCPUをIntelからARM系(独自設計)へ変えることを検討しているという報道があったのを記憶しているでしょうか?
2012年の11月の報道です。


もし、この流れが本格化したらどうなるのでしょうか?

過去のIntelのCPU用に用意されたバージョンが、メーカーからARM系のCPU用にコンバートされて用意されることはおそらくないでしょう。

過渡的な時期に発売されるアプリはUniversal Binaryでメーカーが対応するとしても、過去のアプリはIntel→ARM系のRosettaが搭載されて対応するということになるのでしょうか。
そうなると、現在使えているPhotoshopのプラグインもPowerPC→Intelの時と同じように使えなくなることは目に見えています。
またRosettaを経由したアプリは、動作が緩慢になります。ARM系のCPUがIntelのCPUのように非常にパワフルなものになれば別かもしれませんが、もともとそのような設計では無く、省電力とパワーのバランスを取ったCPUであるため、動作スピードは期待できません。
画像処理、複雑な効果処理、大量のファイルをハンドリングする処理などが入り交じるDTPの処理でこのような動作が緩慢なものは歓迎されないでしょう。

たとえ、ARM系のCPU搭載のMacが出てきても、その当時の最新のCSxxではネイティブ対応となるかもしれませんが、それ以前のバージョン(少なくともCS6は)ARM系のCPU搭載のMacではマトモに動かない…こうしたことも考えられます。


また、Mac OS X 10.7でPowerPC→IntelのRosettaが廃止されたように、RosettaがいつまでもMac OS Xに搭載されるとは限りません。


こうした動きから、DTPに関わる人達はAppleの挙動を見ながら、Intel CPUのMacを持ち続ける、といったことが必要になってくるのではないでしょうか。


もしかすると、そうした2台持ちを想定して、Creative Cloudは以下のライセンス設定がされているのかもしれません…。

Creative Cloudは最大2台のパソコンまで”同時使用可能”となりましたので、例えば異なるバージョンのIllustratorを任意に選択して同時に使用する、という事も可能となります。
Creative Cloudは”CS6以降のアプリケーションがいつでも全て使えるサービス”となります。

ARM系のCPU搭載のMacと、IntelのCPU搭載のMacに同一ライセンスのCreative Cloudをインストールすることができるわけです。


なるほど…こうした過渡期のMacにも対応できるようなライセンスは考えてみれば素晴らしいですね。
Appleが(たとえユーザーのために)CPUをころころ変更するメーカーであったとしても、Creative CloudはDTPに関わる人達を(ある程度はライセンス内で)サポートできそうです。Creative Cloudはこうした面で大いに幸せにしてくれそうです。


Appleの挙動次第で、Creative Cloudを入れざるを得ない状況になるかもしれません。

「Creative CloudがDTPに関わる人達を幸せにするか」は、古いバージョンがインストールしやすい、複数バージョンの起動ができる(できそう)なのはもちろん幸せにしてくれるのでしょうが、Appleの挙動の保険として、大いに役立つことは間違いなさそうです。


それでは。

P.S.

私は会社では主にWindowsでDTPなどをやっています(笑)。他のメンバーはMacですけどね。

なお、逆にIntelのCPUが大幅に省電力になって来ているのでARM系のCPU路線自体が変更になると指摘するブログもある。
ご参考まで。
さらに、Intelはプロセス世代のアドバンテージを利用して、モバイル向けx86でARMと真っ向勝負する模様。
Intelは本気だ - g*m**_r**_s**のブログ - Yahoo!ブログ

Intelが攻勢をかけるのと、新興企業がチマチマやるのとではわけが違う。
PC市場で、「こういう新しいのを作ったからソフトウェアもこれに合わせろ」と通達して、本当にそうさせてきたIntelである。
モバイル市場でも同じように支配的な影響力を持つようになる可能性もある。
なにしろ、ARM陣営より1~2年製造プロセスが進んでいる上、技術力、開発力、資金力もバケモノだ。
少々読み違いで他社に先んじられても、すぐに追いつき、追い越してしまう。
今はモバイル用SoCを自社開発しているAppleも、IAの方がARMより優れていると判断した場合、Macと同じようにSoCをIntelからの購入に切り替える可能性すらあると思う。
Appleはx86システムで動かすOS開発をMac OSで既に行っているので、OS開発のハードルが低いことに加え、Intelからのチップ購入のパイプはMacで既にある。
しかも、自社で開発費を投資するより、半導体一本で食っているIntelに全て任せた方が効率的と思われる。
Intelは本気だ - g*m**_r**_s**のブログ - Yahoo!ブログ

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